軍師ピックアップ 
明和製紙原料株式会社 取締役副社長 / 株式会社リアライズ 代表取締役
駒津 慎【一般社団法人軍師アカデミー認定 軍師®1級】

創造性と革新性を刺激し続ける企業内軍師

「本当にこのままで生きていけるのか? その形で走り続けた時、わが社に何が残るのか?」

2015年冬、一人の男が自社の次代を担う後継者や幹部候補たちに鋭い目線を送りつつ、率直に問いかけた。

男の名前は駒津慎。彼が所属する「明和製紙原料株式会社」は、現在、大きな節目を迎えようとしている。言うまでもなく、「紙」というメディアを襲う波は予断を許さず、「製紙原料」を中核とする同社の将来は不透明だ。さらに、現経営者(2代目)から次なる世代(3代目)へのバトンタッチの時期も遠くはない。経営者が変われば、会社の軸足も変わるべきかもしれない。中小企業においてトップ交代の意味は果てしなく大きい。

だからこそ、今からの数年間の使い方が会社の未来を決めることになる。その想いが彼を突き動かしている。そして、これまでさまざまな経営改革、事業改革を自らリードし、実現してきた駒津は1つの大きな打ち手を繰り出した。

明和CIプロジェクト。彼は同社の未来を担う後継者と幹部候補を招集し、「自分たちが実現する未来を、自分たちで描く」ためのプロジェクトを発足させ、未来づくりへのスタートを切った。冒頭の投げかけは、その会議の一場面だ。

親族外役員として会社の未来を切り開いてきた

駒津は28歳の時、平成12年に同社に入社した。同社は創業一族によるオーナー経営の会社だが、彼はその親族ではない。しかし、その卓越した事業センスと行動力は同社の事業の中で花開くことになる。社長が仕事を部下に任せる度量を持ち、自発的に動きを起こす駒津の自由な動きを受け入れたからこそではあるものの、結果的に彼は右肩下がりになりかねない古紙業界の中で、同社に独自のビジネス構造をもたらし、新しい可能性の芽を生み出してきた。

例えば、大手スーパーと提携し、一般家庭の「紙」を集める「えこすぽっと」事業。製紙原料のもととなる「古紙」を卸ルートではなく自社で直接賄うスタイルへの構造転換を果たした事業改革の1例だ。類似の取り組みを始めた他社もあったが、実現に向けてクリアしなければならない課題は数多く存在し、それらを見事に解決しつつ自社ならではのビジネスモデルとして作り上げた。今では岡山のみならず、全国にその仕組みを移植しつつあり、ついには沖縄にも進出を果たした。

また、情報管理セキュリティへの関心が高まり、企業全般がその扱いに苦労している中、同社では機密文書廃棄への取り組みもいち早く開始した。この取り組みもビジネスモデルとして確立しつつある。

この先導役であり、切り込み隊長であり、経営・実務の両面で全体を仕切ってきたのが彼だった。

リーダーとしての弱点も自覚し、軍師力を活用するスタイルへ

新しい可能性を生み出す役割を担い、結果を出す中、ある時、彼は大切なことに気がついた。そして、自らの弱点を強く感じることになる。

「気がつくと、誰もいなかった」

彼は苦笑いしながら語ってくれた。自らの突破力で可能性を切り開いてきたが、自分の後ろには誰もいない。もちろん、指示すれば部下は動くけれども、それ以上の動きは生まれない。皆、楽しそうに仕事をしていないし、人材が育っていない。そのことに気づいたとき、このままではまずいという自覚が芽生えた。駒津は、その事実をリーダーとしての自分の力不足であると受け止めた。

そして飛び込んだのが「軍師アカデミー」だった。自ら開拓した人脈の中で出会った信頼できる人物からの助言、そしてその紹介もあって飛び込んだ学びの場が「軍師アカデミー」だった。多種多様な立場で成長を志す学びの場、さまざまな専門性を有する人々との交流は、彼にとって自己を客観視し、定義しなおす大きなキッカケとなった。そして、リーダーシップの本質を掴むとともに、自らの仕事のスタイルも大きく変革していくことになる。

「社員一人ひとりが輝く場を創り出したい」

「私が苦手なことであっても、それを得意な人が、輝きながら仕事をしてくれれば、自分では成し遂げられない仕事を実現できる」

彼の口からそんな言葉が自然と出てくるようになった。もちろん、従来から発揮してきた発想力、行動力、突破力に陰りはない。アカデミー講座受講中から行動を開始し、明和製紙原料株式会社にとっては子会社となる「株式会社リアライズ」を設立し、代表取締役に就任した。夢を実現し、皆が輝く場を生み出し続けたいという思いを社名に込めて設立した同社は、現在は明和グループとしての価値創出機能全般を担っている。

未来を切り開く先頭に立ちつつ、次世代の育成を両輪で進める

平成26年1月、駒津は明和製紙原料株式会社の取締役副社長に就任した。社長との信頼関係のもと、現在は会社の業務執行の多くを経営陣の一翼として担っている。現在向き合っている最大のテーマは、同社グループの未来を描き、その担い手となる後継者、幹部の育成を果たしつつ、リアルに事業を動かし続けることだ。

約1年をかけて取り組んできた明和CIプロジェクトは1つの節目を迎えている。

「創業以来、事業の中核を担ってきた古紙卸売業態の今後をどう読むのか?」
「自社はそこでどんな立ち位置を取るのか?」
「自分たちが描き得る未来とはどんなものなのか?」
「これからも変えてはならないものは何? 変えないといけないことは何?」

厳しいけれども、本質をついた質問と向き合い続けたCI会議。参加者の反応、問いかけへの答えのレベルも1年間で格段に向上した。何よりも、日常の実務における思考・行動のレベルが底上げされてきたという。

軍師アカデミーで得た知恵と人脈を活用しながら、全力で未来を切り開く挑戦はまだまだ続く。プロジェクト期間はもうすぐ終了するが、実現に向けての次なる打ち手はここからが勝負どころ。描いた未来の実現に向けた実務は既に動き始めている。

時には「経営者の軍師」として、時には「後継者の軍師」として、時には「社員の軍師」として、深みを増したリーダーへと脱皮しつつある駒津慎。会社を成長させつつ、実は本人も飛躍的に成長を続けているのだろう。

駒津 慎(こまつ しん)
【一般社団法人軍師アカデミー認定 軍師®1級】

連絡先
明和製紙原料株式会社
  本社:岡山市北区青江1-20-26

株式会社リアライズ
  大阪市淀川区西中島3-23-15  セントアーバンビル705

 

 

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