軍師アカデミー 特集記事 お互いを高めあい、成長と幸福の連鎖を巻き起こす未来へ02

「後継者の軍師」領域は軍師力の源泉。この領域と真剣に向き合うからこそ体得できる力がある。

大島 軍師アカデミー事業を立ち上げ、これまで育ててきた事業主体は「株式会社後継者の軍師」でしたが、これからは「一般社団法人軍師アカデミー」が主体となります。そこにはさまざまな意味合いがあるのですが、とてもわかりやすい2つのポイントを挙げましょう。
 1つ目は、株式会社ではなく一般社団法人という組織形態に事業主体を移したこと。これは、志を同じくする仲間が集い、価値を生み出し続け、価値を次世代につなぐ活動を行っていくためには、株主というオーナーが存在する株式会社よりも社団法人という形のほうが適していると判断したからです。とはいえ、私たちは単なる交流組織ではありません。社会に独自の価値を提案していく挑戦的な動きを繰り返さなければなりません。本来は、株式会社が得意とする積極的な意思決定と行動も求められます。その意味では、一般社団法人という組織が持つ本来の良さを活かしつつ、株式会社にも負けない機動力を私たちで実現しなければなりません。
 2つ目は、あえて「後継者」という単語を組織名称から外したことです。実は、このことには、軍師仲間の中でも異論反論と言いますか、「私は後継者支援をやりたくて軍師アカデミーに来た」「後継者の文字がないとわかりにくい」という意見もありました。その気持ちもわかりますし、ある意味、私としては嬉しかったです(笑)。だって、私自身はまさに後継者支援領域で生きていますし、そのメッセージを持って仲間を集めてきたわけです。「皆、わかってくれている」と嬉しく感じました。
 しかし、一方で「それはありがたい。自分は必ずしも後継者支援を行っているわけではない。軍師アカデミーで学んだことは後継者支援以外でも役立つ。そのことを公式に表明してくれた」という反応もかなりありました。この反応も嬉しかったです(笑)。だって、私たちが軍師アカデミーで共有している知恵は「人と経営の本質」と向き合うことで生まれてくるもの。それが後継者支援以外で役立たないわけがありません。「良かった。ちゃんと本質と向き合ってくれている」と嬉しく感じたわけです。

川路 軍師アカデミーで学び、共有したことには高い汎用性があります。私は後継者の方の支援も行っていますが、その他、経営者、社員など多様な立場の方たちを対象としたコンサルティングや研修を日常的に行っています。創業希望者の支援をすることもありますし、非営利団体の活動支援や学校教育にかかわることもあります。一見すると、対象もテーマもばらばらと思われるかもしれませんが(笑)、やっていることはどれも本質的に同じです。人が成長するためには何が必要なのか?組織が元気になるためには何が必要なのか?行っていることのレベルが上がり続けるためには何が必要なのか?担当者が入れ替わるとき、経営者が変わるときに何が起きるのか?支援する私が行うべきことと行うべきでないことは何なのか?ほぼ全ての支援現場、課題解決現場において、軍師のノウハウと自分自身がもともと身につけていた得意技を組み合わせることで突破口を開くことができています。

大島 川路さんが得意とされる人・組織の活性化というテーマは、事業承継時においても中心テーマの1つです。かつて私も苦労しましたし、多くの後継者たちが直面している根深い問題です。経営者が交代するということは、組織の求心力も含めて全ての前提条件が変わることを意味します。さらに、そこに事業改革、財務改革や同族問題その他が絡む現場で本質を探り、解決の糸口を探す訓練・実践を積むことは、当然のことながらそのテーマにおける最高のスキル獲得につながるはずです。
 その意味では、もともと後継者支援を柱とされていなかった國弘さんは、軍師の学びを吸収されて何を感じられているのでしょうか?

國弘 私は軍師アカデミー卒業後、縁あって後継者の方へのパーソナルコーチングやスキルアップ支援を行うことが増えてきました。その場面では、軍師アカデミーで学んだ後継者に関する知識をそのまま活用することができます。しかし、実はそれだけにとどまらない効果を実感します。
 これまで私が習得してきたカウンセリング、コーチング、研修、コンサルティングの全ての能力が底上げされたと感じています。「後継者の軍師」のスキルを学んだことで、それまで自分が得ていたスキル全てが強化されたという言い方が適当かもしれません。例えば、後継者や経営者が向き合う「経営」の本質について総合的で体系的な理解を深めたことで、私自身がより深く彼らに共感し、彼らの「自己肯定感」の向上を促す力が高まったことを感じます。

大島 なるほど。確かに後継者や経営者が向き合わなければならない「経営」の問題は奥深く、活躍されているカウンセラー、コーチ、研修講師、コンサルタントの方でも、経営全体の中での位置づけを的確にとらえきることができるかどうかで仕事の深みが全く異なってくると思います。國弘さんの場合、ご自身で会社を経営されているという経験値と、これまで磨き上げてこられた高いスキルと、軍師アカデミーでシェアした視点や知識・技術が結びついたのではないでしょうか。軍師の体系の中では、自己理解・自己肯定感を起点としながら人と経営の問題を動かしていくという基本フレームを根底に置いています。だからこそ、國弘さんの固有の能力やパーソナリティとの接点も強く、全てが早期に結びついたという面もあったかもしれませんね。

神崎 大川原さんの感覚も伺いたいです。大川原さんは、中小企業診断士資格を取得後に軍師アカデミーに参加され、アカデミー卒業後に独立されました。中小企業診断士の資格は、川路さんも大島さんも私も持っていますが、一通り経営に関することを学ばないと取得できません。その試験をクリアされた大川原さんが改めて軍師の力を学びなおすことにはどんな意味がありましたか?私や大島さんがお話しても説得力がないかもしれませんので、あえてお聞きします(笑)。

大川原 私はこれまでに複数の業界で仕事をさせていただき、ビジネスを学んできました。資金繰りに窮し、瀕死の状態に陥っている企業の経営者とともに難局を乗り切ったこともあります。やばい!口座にお金が無い!このままだと決済できないぞ・・・とか、経営者とともにギリギリの一線で踏ん張った経験は今の私の力の源の1つでもあります。そんな経験もした上で、経営全体、ビジネス全体を俯瞰できる力を獲得するべく中小企業診断士の勉強に入り、試験もクリアしました。勉強は大変でしたし、合格したときは嬉しかったです。ただ、当たり前のことですが、資格試験は合格すること自体に意味があるわけではありません。そこで身につけた力を自分自身が使えるものに仕上げていかないと意味がありません。試験ではペーパー上に書かれていることも、ビジネスの現場では誰も書き出してくれていませんし、科目別に出題してくれることもありません。千変万化する環境の中で、自分自身のクリエイティビティを働かせ、全ての知識や仮説をフル動員し、生身の人間とやり取りしながら結果を出さなければならないわけです。だから、試験に合格しても、まだまだ学ぶべきことはたくさんありましたし、本物の力に仕上げるためには、どこで、どういう形で活かすべきかを考えながら動き続けなければいけませんでした。

神崎 そんな時に、軍師のオープンセミナーに来られたのですね?

大川原 はい。そこで大島さんや神崎さんが立ち上げようとされている「後継者の軍師」という事業の構想に触れ、「後継者支援」「事業承継支援」という領域に関心を持ちました。いざ学び始めると、とても奥深く、人間や経営のあらゆる角度からのアプローチを凝縮して行うべき支援領域で、突き詰めたいと確信しました。中小企業診断士の方の中でも気づいていない方が大半かもしれませんが、軍師が提唱している「事業承継」は、中小企業診断士にとっては王道中の王道とも言える支援領域ではないでしょうか。そして、この王道中の王道と言える支援領域での力を磨けば、大概のことにはひるまず、向き合うことができる力が身につきます。ただし、おそらく一生かけても自分が完成形になることはなく、足りない自分に気づき、まだまだ勉強しないといけないことを自覚することになりますが(笑)。

大島 足りない部分を感じるのは私も一緒です。ここにいらっしゃる方々全員そうでしょう!?(一同頷く)
 私たちが向き合ってきた「事業承継」とは、人や経営の本質が最も広く、深く問われる瞬間の1つです。そこには、企業が生き残るために必要なこと、人間がその場で本気で頑張るために必要なこと、それらを阻害するさまざまな要因の絡み合いの形・・・等々、これでもかというくらいに、多様な問題が浮かび上がります。しかも、そこで要となるのは、意識・知識・行動の全てに課題を抱えていることが多い未熟な後継者です。その現場で軍師としての役割を果たすための力を磨くということは、人間に強くなり、経営に強くなり、全てに強くなろうとする試みに等しいわけです。
 今や、軍師仲間の間では、共通言語となっている「後継者の軍師流:経営後継者と会社のシナジー回路」の「後継者」という部分をそれぞれの場面で読み替えてみてください。多くの課題解決の現場で応用が利くはずです。

大川原 ただ、あの図の本質を理解するには、かなりの修練が必要です。私たちは、後継者支援に特化して考え続け、向き合い続けたからこそ、本質が見えてきたと感じます。私は、軍師の仲間たちとともに「株式会社後継者の学校」を立ち上げ、今も全国の後継者たちと日常的にお会いし、その問題と向き合い続けています。そして、徐々に、その意味合いがわかってくるというか・・・わかったつもりになっても、また更に新しい意味合いが見つかるという、そんなことの繰り返しです。

大島 軍師の手法は、言葉としてはシンプルなものに、そして知識量は安易に増やさないように体系化してきましたが、その分奥深く、噛めば噛むほど味が出る形になっていますからね(笑)。私自身も未だにその繰り返しです。
 当初、神崎さんも私もそこまで考えていたわけではありませんが、後継者の問題、事業承継の問題と向き合い続けたからこそ、そこに潜む人間と経営の問題の数々から軍師は多くのことを学びました。そして、それは実は後継者支援、事業承継支援という領域以外でも通用する、いえ、強く求められていることだと実感するに至りました。したがって、軍師アカデミーでは今後は、後継者支援、事業承継支援以外の領域で活躍する方々にも軍師力を普及させたいと考えています。ただし、その軍師力獲得のプロセスとしては、現時点で「後継者」「事業承継」と向き合う「後継者の軍師としての学び」以上のものは発見できていません。これからも、軍師力を身につけていただく入り口では、「後継者の軍師」を名乗るに足る力を徹底習得していただくことにしています。

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