人材育成のプロフェッショナルとして変幻自在に生き抜いてきた軍師、中山美佐子氏(軍師アカデミー第1期生、軍師認定コンサルタントS級、軍師養成ライセンス保有)。
今ではプロ講師、コンサルタントとして活躍する中山氏だが、実は社会人としてのスタートは幼稚園教諭だ。幼稚園の先生になることは中山氏が幼き頃に描いた「夢」そのもの。
幼稚園児のときに登園拒否児になり「日本の子どもを幸せにする幼児教育がこれではイカン」と、自分が変えなければと5歳のときに決意した。その長年の夢を叶えた中山氏は、幼稚園で子どもたちの成長を支え、見守るという人生を送るはずだったのだが・・・彼女はこれだけでは不十分だと思うようになったという。
「夢」は叶えた瞬間から「満足」に。「満足」となった瞬間、またさらなる「夢」が生じてしまう。
これから先も、私はここにとどまるのか?
この先に何があるのだろうか?私はそれでよいのだろうか?
幼稚園では、子どもたちは入れ替わっていくが、教員はそのまま園に残る。同じような仕事がずっと続く。幼稚園という枠組みの中での役割は変わるものの、その変化はあくまで枠内でのものだ。自分はこの枠の中で生きていくのだろうか?この枠の中の子どもたちだけの成長と幸せを見守ることが私の役目なのだろうか。
子どもを幸せにするのは、幼児教育だけでなく、親が、身近な大人が、人生を幸せに生きることから始まるのではないか。
子どもが不幸になるニュースをもう見たくない。もっと大きく世の中の課題解決に貢献する必要がある。
そのとき、中山氏は大胆な決断を下し、「変幻自在」なキャリアを描き始める。
中山氏が出した答えは転職。夢だった幼稚園教諭という職を惜しみなく手放し、大手企業に派遣社員として転職した。とはいえ、その「仕事」がゴールではない。環境を変え、自分自身を解放し、本当に「自分の仕事」と思えるものを見つけるための挑戦をスタートさせたのだ。
まずは、学びの幅を拡げていった。大人としてこれが「自分の仕事」と言えるものを持ちたい。そう考えた中山氏はどん欲に多方面に手を伸ばした。パソコン、着付け・作法・・・資格も取得した。
さらに、実践的に仕事の手探りも開始。当時はまだ一般的ではなかった「複業」に取り組み、「自分のキャリア」の筋となり得るものを探った。着付・作法の資格取得後は着付学院やマナー講座で講師を務めるようになった。
ひとつひとつの動きは別々のピースだったが、徐々に「人材育成」の領域へと中山氏は方向性を定める。そして、あるとき、全てのピースがその後の中山氏、つまりプロ講師へと進むベクトルとして結実することになる。
あるとき、一般公開型のビジネス研修に生徒として参加した中山氏は、そこで出会った講師の力量に惚れ込み、その場でその講師への弟子入りを志願した。ところが、偶然にもその講師は中山氏が複業としていたマナー講座出身の方だったのだ。結果的に、マナーと着付学院での実績が評価され、中山氏はそこから一足飛びに企業向け研修の講師を務めるチャンスを獲得したのだ。
その後、研修講師としての実績を積み重ね、多くの依頼を獲得できるようになった中山氏は、キャリアコンサルタントの資格を取得し、大人を幸せにする職業キャリアに関わることが増えてきた。次の夢は、子どもの親になる前の段階である大学生に関わることだった。
そして、大学での非常勤講師としての通期開講が決まった2006年、完全独立を果たした。
そして、今も第一線で活躍を続けている。
もちろん、漫然と目の前の仕事をこなしてきたわけでは決してない。自らに常に仕事がある状態を保ち続けることができるように、独立後も新しい学びを開拓し、続けてきた。講師としてカバーする領域も当時の比ではないレベルに拡げてきた。
さらには、組織開発を支える人材育成コンサルティングや、チームコーチングの学びへ。
そして、その頃、2010年に軍師アカデミー講座第1期が始まると知ったとき、迷わず軍師の学びの世界に飛び込んだ。
当時の中山氏は、自分が学んできたキャリア支援、コーチングの技術を経営の現場で生きる人たちに活かすために、経営の本質や全体像を自らが理解できるようになる必要性を強く感じていたという。
かつては新入社員や若手社員対象の研修を担当していたが、徐々に管理職向け研修もできるようになった。そして、次は経営層・・・となったとき、自分に欠けているものに気づいた。
知人が中小企業の経営者となって相談を持ち掛けられたとき、十分な役割を果たせない自分を感じたこともあった。
中山氏はそこで欠けていたもの、経営の本質やそれを担う人たちのキャリアの現実について軍師アカデミーの場で学び、自分が培ってきたスキルと融合させた。「経営×キャリア」の視点を自分の中に獲得した時、自分ならではの役割を果たすことができる新しい領域も見えてきた。1人のプロとしてこれからも生きていく上での大きな拠り所を手にした瞬間だった。
これまで変幻自在の学びと行動を積み重ね、自分ならではの「経営×キャリア」を形にしてきた中山氏。それはきっとこれからも変わらない。今もそこにアイデンティティ(自分らしい持ち味)とアダプタビリティ(適応力)を注ぎ込み、次なる未来をフリーハンドで描こうとしているはずだ。軍師たる自分を内に秘めたる中山氏の躍動はまだまだ止まらない。